漆黒能は、3年ほど前から構想していた「真暗闇の中で執り行われる能」によるインスタレーション。
2019年1月21日と22日の2日間、招待制にて開催。
能楽師いわく「完全な暗闇での能」は千年以上続く能の歴史の中で、おそらく初の試みだということでした。
また、漆黒能の直後の特別上映として、寒川が先に撮影した映像、写真をもとに、アメリカのSF小説家ケン・リュウが、後からテキスト、脚本を与えるという、やや特殊なプロセスで制作された作品『Alter』が、一夜限りで上映され、限定の特別冊子が配布されました。
概要
[ プレトーク ]
Eugene Kangawa (THE EUGENE Studio) × 田根剛 (建築家)
日時:2019年1月22日(火) 18:00–19:00 受付開始 17:30
場所:国立新美術館 3階
[ 漆黒能 ]
演目:井筒
日時:2019年1月22日(火) 19:10–
場所:国立新美術館3階
※半能/シテ方 大島輝久
能協力:大島輝久(能楽シテ方喜多流職分)/足立寛
主催:株式会社ゴールドウイン
日時:2019年1月21日(月) 22日(火)
会場:国立新美術館
『漆黒能』(英題:Phantosia)は、“完全な暗闇で能を執り行う” インスタレーションである。漆黒の闇と静寂のなかで執り行われる能は、視えないが故に無限のイメージの可能性を引き出す。
※「Phantosia」は、PHANTASIA(ラテン語における空想空間)とPHANTOM(亡霊)を組み合わせた造語。
今回は世阿弥が創り出した夢幻能の形式である「井筒」「鵺」いずれかの演目が半能形式にて行われる。はじめの数分間、まずは現実世界のワキが日が没する直前に登場し、そのあと夢の世界、霊としての後シテが登場するときに、本当の暗闇が訪れる。
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[掲載メディア]
Wired
見えないものを見る、漆黒能
“不思議なことに、暗闇とともにその戸惑いに慣れるとき、観客はまぎれもなく能を“見て”いる。眼前で左右、手前、奥へと動き回り、立ち現れてくる音によってかたちになる概念を、まぎれもなく、そこに“見る”ようになるのだ。(中略)…漆黒能では、音声情報である謡が、暗闇のなかで能を立体的に組み上げてゆくさまをありありと感じることができる。
…
美しい情感と知性あふれる言葉で自然を記述し続けていくかのようなその映像詩は、まさに過去から現在、そして未来に至るまでの人間の営みそのものを表現していた。見えないものを見る漆黒能を謡ということばを用いた芸術の極地とするならば、最後は『Alter』のなかの印象的なフレーズで終えようと思う。
──わたしたちの最も強力なテクノロジーは言語であり、それはすべての道具のなかで最も自然なものである。”
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HONEYEE.COM
見えないものを見る、漆黒能
“能を含めた芝居、芸能の起源と言われているアメノウズメという女性の神は、日本書紀や古事記において、岩戸の中入ったアマテラスを、自身の舞によってそこから出るように仕向けた。そこでアマテラスが岩戸から出てくるということは、暗闇の中に太陽が昇ることを象徴している。
そのように、「漆黒能」は視覚的、聴覚的に新鮮な体験という以上に、日本文化の深部にまで射程を伸ばしている。”
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