Web太陽にて、2021年11月より始まった東京都現代美術館 個展「ユージーン・スタジオ 新しい海:After the rainbow」に関する記事が掲載されています。
( 掲載記事より一部抜粋 )
"1995年の開館以来、絵画、彫刻からファッション、建築、デザインなど、ジャンルを超えて国内外のコンテンポラリー・アートに関わる事物を紹介してきた東京都現代美術館。いま、同館でははじめて、平成生まれの作家の個展が開催されている。"
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“…ベルリンの壁崩壊の年に、父の仕事の関係でアメリカに生まれた寒川は、その後、兵庫県宝塚市に移り、6歳の時に関西・淡路大震災に遭う。大学時代には闘病生活を送っていた母の死を経験し、その翌年、2011年には東日本大震災が発生した。
小学生のときの1か月にわたるヨーロッパ旅行や、事典や図鑑が大好きだったという彼は、世界の事象から個の体験まで、さまざまな出来事をその眼でとらえてきた。
一方で、政治や社会学に興味を持ち、人工知能の研究が進む今に、あえて「わからないこと」を手がけることに可能性をみて、アーティストになることを選択したそうだ。…"
"…同館の地下2階から地上階まで吹き抜けの空間に“海”が出現している。周囲は鏡で覆われて、壁に沿って歩くと自身の姿がさざ波に揺れる水面とともに無限に反復していく。
この空間が存在する地が海抜0m以下であることからインスピレーションを得た作品は、豊穣と脅威をもたらすとともに生と死の源としての「海」を、みる者に想起させる。
外光がそのまま入り、時間とともに刻々と表情を変える大規模なインスタレーションは、スケールにおいても、美しさにおいても圧巻だ。…"
"…描かれた風景は、ときに日本画を思わせ、ときにモネの睡蓮を連想させ、ときに中世の「メメント・モリ」へとつながっていく。移りゆくものを映すもの、そしてそれらを写したもの、地と図のヒエラルキーはあいまいになり、「みる」ことと「認識する」ことへの反省をうながす。…"
"…限りなく静かに、そして美しく、複雑な世界の「在る」を考えさせるユージーン・スタジオの作品空間。
それは、深い思索と哀しみをたたえつつ、あらゆる二元論を超えたその先に、未来への希望の可能性、共生のための「想像力」を提示する。
「見えないものを想像する力は、多様性や共生への理解を前進させる力」(寒川)
彼が、個の名前ではなく、“スタジオ”として、さまざまな協働を想像させるアーティスト名で活動していることも、この信念に由来するのだろう。…"
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