Announcement: アジア・ASEANゆかりのコレクターの方々の手によって、個展「新しい海」(東京都現代美術館、2021〜22年)が原型となる寒川裕人/ユージーン・スタジオの作品の常設美術館の建設が、現地運営組織によってバリの世界遺産の麓で開始されています。(ユージーン・ミュージアム・イン・バリは2026年一般公開予定)

この度、アジアとASEAN地域、インドネシアに縁のあるコレクターズユニオンによって、東京都現代美術館の個展「新しい海 After the rainbow」(2021-22)がもととなる寒川裕人/ユージーン・スタジオの作品の常設美術館がバリの世界遺産一帯の麓にて計画され、現地運営組織によって建設が開始されました。本館建築はインドネシアを代表する建築家アンドラ・マティンの設計と寒川の対話によって設計され、一般開館は2026年と予定されています。(本常設美術館「Eugene Museum in Bali(ユージーン・ミュージアム・イン・バリ)」は約1haの敷地に合計約5000平米の施設となります。)

本美術館は、緑豊かな周辺地域と美術館の運営を担う現地共同企業体により、現地法に基づいた建設・ 運営・法務・広報等全般の活動が行われています。また、関連する美術館周囲は重点開発区域として、現地および多国籍のチーム、地域の官公庁によって支えられています。

まずはスタジオより、私どもの想像を遥かに超える常設美術館をご提案くださり、ご尽力くださっている方々に心より御礼申し上げます。また、現地の皆様にとって大切な場所となることを願っています。

詳細は美術館の公式webサイト(英語/インドネシア語 *外部サイトへ移動します。)をご覧ください。

美術館公式Webサイト

下記、美術館公式webサイトより引用

“海と緑に囲まれた1haの敷地に広がる美術館の建築のパートには、イスラム圏の建築における最高賞のひとつとされるアガ・カーン建築賞やヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展特別賞を受賞し、インドネシアを代表する建築家アンドラ・マティン(Andra Matin)が設計を担当しています。 またミュージアムコミュニケーション・マネジメントパートは、グッゲンハイム・ビルバオやV&Aをはじめとする世界の数多くの美術施設を担う英国のチームSuttonとVivinが担当しています。

先駆けて2024年5月末にはインドネシアにて美術館より計画が発表され、本国では多様なメディアに取り上げていただき、他にもイギリスのFinancial Times本紙や仏Le Quotidien de l’Art本紙ほか、香港やフィリピンなどのメディアでも取り上げて頂いております。

美術館より、インタビュー動画が公開されています。下記よりご覧いただけます。”

An interview by the Eugene Museum in Bali.
Architect Andra Matin and artist Eugene Kangawa discuss the concepts and materials, with new perspective sketches, at Eugene’s atelier and home.
(This video was recorded in May 2024, published in September 2024.)

An interview by the Eugene Museum in Bali.
Architect Andra Matin and artist Eugene Kangawa discuss the concepts and materials, with new perspective sketches, at Eugene’s atelier and home.
(This video was recorded in May 2024, published in September 2024.)

※その他、美術館に関する記事はこちらからもご覧いただけます。(外部サイトへ移動します。)

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Eugene Museum in Bali について

(下記、美術館の英語版ボイラープレートより直訳・引用しています。)

“バリ島、世界遺産の麓、名勝タナロット寺院から約10分、緑と海に囲まれたEugene Museum in Baliは、インドネシアに縁のあるコレクターユニオンを中心に世界の様々な地域の人々の支えと共に作られる常設の美術館です。インドネシアを代表する建築家 アンドラ・マティン(Andra Matin)の建築、寒川裕人/ユージーン・スタジオ(Eugene Kangawa / EUGENE STUDIO 以下、Eugene)の恒久的な作品と、自然の共生を、1ヘクタールに渡り深く感じることができます。本美術館は2026年に一般公開予定です。

自然林の間をぬって作られる施設面積約5,000平方メートルのなかには、金色に輝く雨、無限の海、輝く巨大なペインティング等の10を超える部屋や、緑に囲まれたエントランスレストランやライブラリー、ステイプログラムなどがあり、深い体験が、世代を超えて一日を通して提供される場所です。 自然との共生をコンセプトとした建築で知られるインドネシアのアンドラ・マティンの建築空間は、作品と見事に調和し、世界観を存分に感じられる贅沢な空間となっています。

寒川裕人による、愛や偶然、光と影、自然またはメタネイチャーなどをテーマとした大規模なインスタレーションや絵画は、分断されつつある現代を生きる人々を惹きつけ、2021-22年に開催された東京都現代美術館における同館最年少での個展の反響は世界へと広がり、インドネシアを含む多様な地域に波及し、常設で世代や国境を超えて世界中の人々へ届けられるべきという多様な地域の方々の支持と期待感と共に、自然に恵まれ、国際色豊かな場所であるバリでの常設美術館「Eugene Museum in Bali」へと繋がりました。

美術館の隣にはインターナショナルスクールが開校され、Eugene Museum in Baliでは、自然・物理と哲学が融合した作品群と、現地の豊かな自然が調和し、自然と作品、そして訪れる人々による新しい共生の場が地域からも期待されています。”

約2年後の一般開館に向けて日々、過去シリーズに加え新作を含めた制作を行っております。緑溢れる場所にて、子どもから様々な世代までにひらかれた美術館になればと願っております。


About Andra Matin アンドラ・マティン

アンドラ・マティン(Andra Matin)は1962年インドネシア生まれ。2018年ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展特別賞受賞や、イスラム圏の建築における最高賞のひとつとされるアガ・カーン建築賞を2022年に受賞等、住宅や美術館、モスク、公営 水泳場などを幅広く手がけるインドネシアを代表する建築家。 代表作に「ブリンビンザリ空港」、「ポテトヘッド」(2010年)、「Tubaba Mosque」 (2017年)など。西ジャワ州バンドンで生まれ、1981年バンドンのパラヒャンガン大学建築学部卒業、1990-98年Grahacipta Hadiprana勤務、1998年に事務所を 設立し、バンドンにて、約40名超のスタッフが勤務しています。

アンドラ・マティン オフィシャルサイト

建築家 Andra Matin コメント

「Eugene Museum in Baliは、建築がEugeneの作品と有機的に混ざり合うこと、そしてバリの伝統、文化、魂を閉じ込めることが重要です。 私の建築は自然への敬愛がベースになっており、作品との親和性を感じています。今回の取り組みはアート、人々の行動、自然が繊細に混じり合っており、コスモロジーにとって重要な要素が含まれていると感じています。

バリの伝統的な住居システムとして、Natah Systemというものがあります。そこには憩いを生み出す共同空間と共にコミュニティが成り立ちます。今回は建築、自然とEugeneの作品、そしてビジターの皆さんとの共生の地となります。このシステムをベースに、テラコッタなど現地の素材と技術を最大限活用しています。

そしてこの美術館は、インドネシアにおいて、質の高いコンテンポラリーアートと建築を体験する名所になってほしいと思います。インドネシアの建築チームと日本のコンテンポラリーアーティストが力を合わせ、非常に繊細な技術によって、空間と体験を作り出して行きます。是非インドネシアの人々や、世界の人々に感じてもらいたいと思います。」

About Eugene Kangawa / EUGENE STUDIO

寒川裕人(Eugene Kangawa)は1989年アメリカ生まれの現代美術家。
インスタレーションや絵画を中心に、過去に東京都現代美術館での個展「新しい海 After the Rainbow」(2021–22)↗︎や、金沢21世紀美術館「de-sport:」(2020)↗︎、青森県立美術館「青森EARTH2019:いのち耕す場所」(2019)、資生堂ギャラリー個展「1/2 century later.」(2017)、サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン)「89+」(2014)の参加ほか、コレクション展など多数。

また、東京都現代美術館での最年少の個展は、様々な地域の方々の手によって、常設美術館「ユージーン・ミュージアム・イン・バリ」として、バリの世界遺産の麓一帯の約1haの敷地にて建設されています。(日本語の詳細はこちら。↗︎緑豊かな約1haの敷地にて、絵画やインスタレーション作品で構成される美術館は、インドネシアの建築家による設計で、2026年に一般公開が予定されています。)

そのほか、アメリカで発表された短編映画はロードアイランド国際映画祭、パンアフリカン映画祭、ブルックリン国際映画祭、ヒューストン国際映画祭ほか複数の映画祭でオフィシャルセレクションの選出や受賞↗︎ほか、初期の活動については2017年に『アート×テクノロジーの時代』(宮津大輔著、光文社新書)にて、都市計画やバイオテクノロジー、人工知能などの研究開発への招聘や活動についてまとめられ、チームラボ等とともにその分野において日本を代表する四つのアーティストとして著されています。
2016年に設立されたスタジオでは、様々な分野のスタッフが、緑豊かな東京近郊にて大部分が寒川とスタジオスタッフの設計とDIYで作られた「Atelier iii」にて、日々制作やリサーチを行っています。

寒川裕人(Eugene Kangawa)コメント

「まず、このような素晴らしいご提案、機会に感謝しています。インドネシアを訪れ、そこで友人たちと交流することは本当に喜ばしいことでした。このような国を超えた取り組みは当然ながら、多くの方の作品への有り難い支持や支えあってのことで、全ての関わる方にとって大切な場所になればと願っています。

建築家のアンドラ・マティンとの出会いは非常に重要なものでした。現在、美術館のテーマとして挙がっているものは、「Meta-Nature」や「Diverthing(Divert-Thing)」(※いずれも造語)、また「共生/Symbiosis」「想像の力」などが挙げられます。

最初に私が、敷地の中央には建築を作らないのはどうか、と話したところ、Andraがバリの伝統的な集落との共通項を見出し、彼らの伝統につなげてくれました。
今回、各作品のディテールを細かに共有し、作品空間と建築が一緒に設計されていくという興味深いプロセスがありました。建築全体が作品のようでもあり、一部は私のアトリエと同じように自然光が多く、時間帯による変化が大きい場であり、同じ作品でも昼と夜とでは全く違う様子になるでしょう。このようなあり方は作品にとっては理想的な条件の一つだと思います。 森羅万象すべてへの等しい探求が表され、建築、ランドスケープ、そしてそこに訪れる人々と共にあること。それをAndraは “Museum as a village”と呼びました。作品を含めて、ひらかれた場になれば幸いです。」