“完全な暗闇で執り行われる能”
「漆黒能」は、“完全な暗闇で執り行われる能”というインスタレーション作品。数千年続く能の歴史の中で、記録として初の試みであった。 (2019年に国立新美術館で行われた。)
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“視えないが故に無限のイメージの可能性を引き出す。人々がもつ、それぞれの想像のちから、記憶の可能性を信じたい。 見えぬがゆえに引き出される、各々の記憶、イメージ、想像。 その総量は、半ば無限である。すべてが氾濫する現在において、古く、新しい場になればと思う。
空の場所は、ときにバナキュラーに、ときに抽象的な場に変化する。それぞれの個人の記憶に紐付いていったとき、現在と過去、生と死を超えて、その場はいかようにでも変容する。”
『漆黒能』 (国立新美術館、2019)
世阿弥が創り出した夢幻能の形式である「井筒」「鵺」いずれかの演目が半能形式にて行われた。 はじめの数分間、現実世界のワキが日が没する直前に登場し、そのあと夢の世界、霊としての後シテが登場するときに、本当の暗闇が訪れる。
能 協力:大島輝久(能楽シテ方喜多流職分)/足立寛